クリスマスなので(イヴだけど)、
ちょっとマジメなことでも書いてみたりして。
この小説、とても売れたらしいので
ご存知の方も多いとは思いますが
文庫になったのを機に読んでみました。
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魔王 (講談社文庫)
*ドラマの「魔王」とは別モノです。
伊坂幸太朗さんの作品は、緊迫したかと思うとユルくなったりする
ユーモアのさじ加減とか会話のやりとりがすごく好きなんですけど
この小説は今年読んだ本の中で1・2を争う面白さでした。
といっても、「今年読んだ本」の記憶が
もはやおぼろげですが。
まぁざっくり言うと
ファシズムVS超能力みたいな話。
こんな説明されたらあたし絶対買いませんけどね。
でも内容がどうこうではなくて、
今日お話したいのは・・・・・・
ムッソリーニがですね。
ええ、よく知らなかったんですけど
ムッソリーニは恋人のクラレッタと共に銃殺されて
二人の死体は広場でさらしものにされてしまい、
群衆はみんなでツバを吐いたり叩いたりして
そのうち死体は逆さ吊りにされたんだそうですよ。
すると、クラレッタのはいていたスカートがめくれて
下着が丸見えになったので群衆たちは大喜び。
そこに、ブーイングされながら梯子をのぼって
スカートを直し、ベルトで縛った人がいたんだそうです。
・・・ていうエピソード。
で、小説ではこの後
「大勢の人を止めることはできなくても
せめてスカートを直してあげられるような
それが無理でも、スカートを直してあげたい
と思えるような人でいたい」という会話が続くんですけども。
あたしもね、
そういう人でありたいんですよ。前にも書いたことがありますが
わたしの母は「みんなと同じ」ということをものすごく嫌う人でした。
たぶん、終戦の時小6だった母自身、軍国教育を受けていたので
その反動で
長いものに巻かれる危機感 みたいなものを
感じていたのではないかと思います。
ま、だからってわざわざ娘に黒いランドセル買う必要は
全然なかったと思うんですけどね。┐(´-`)┌
とにかく、そんな母に育てられたので
わたくしも「みんなと同じ」というのがとても苦手。
というか、みんなが同じ方向をむいてると
ついつい「ちょっと待てよ」と疑ってしまいがちです。
(ゆえに団体競技がダメダメ)
だから明確な意志も理由もないままに
「みんなやってるから」だの「みんなが行くから」
だのと言ってる人たちをみると
みんながウン●食ったらあんたも食うんですか?・・・と小学生みたいに言いたくなる。
まぁそもそも「みんながウン●食う」なんて状況は
あり得ないわけですけど。

とにかくですね、
そんな風に思っているので友達が少ないです。
ていうか敵が多いです。
なので時々、
めくれたスカート見てよろこんでる群衆が正しくて
直してあげたいと思った自分がおかしいのかと思うことがある。
でもこの本を読んで、
久しぶりに母を思い出しました。
この小説には他にも
馬鹿でかい洪水が起きたときでも、
水に流されないで立ちつくす、一本の木・・・になりたい、という表現も出てくるのですが
うん、これも
一本の木になれずとも
そうでありたい、と思えることが大事なのではないかと。
な~んて言うと、すごく理屈っぽい作品みたいですけど
全体にイイ感じのユルさが散りばめられていて
リズミカルにさくさく読めて
ちょっと清々しい気分になりました。
1年の終わりに、いい小説に出会えたなあ。
それでは素敵なクリスマスイヴを。

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