3月11日のマーラー
先日NHKで放送された
「3月11日のマーラー」という番組を観ました。
震災当日の夜に定期演奏会を決行した
新日本フィルの演奏を記録したドキュメンタリーです。
その日演奏が予定されていたのは
マーラー交響曲第5番。
「ベニスに死す」という映画で
第4楽章がたいへん印象的に使われているので
ご存知の方も多いと思います。
奇しくも「葬送行進曲」で始まるこの交響曲が
この日に演奏予定であったことに震える思いがしました。
マーラー:交響曲第5番
会場に向かうタクシーの中で
生まれて初めての地震に遭遇した
イギリス人指揮者・ダニエル・ハーディング。
リハーサル直前にテレビで津波の様子を目にして
家族や故郷を思い動揺する団員たち。
安全確認を終えて開催を決めたものの
迷いや不安が最後まで消えない運営者。
あの日の演奏会に行ったことを
今まで誰にも話せなかったという観客。
心もとない気持ちでそれぞれが集まり
そして定刻通りに演奏が始まります。
陰鬱な葬送行進曲で幕を開けた交響曲は
夢のように美しい第4楽章を経て
ついにあふれんばかりの歓喜と
「生」のエネルギーに満ち溢れた
力強い第5楽章でフィナーレを迎えます。
過剰な演出もなく
ひたすら淡々と演奏会を再現しているだけなのに
ぐいぐいと心に迫るものがありました。
わたしはこの番組を観るまで
こんなことがあったのはまったく知らなかったのですが
この日この夜にこの交響曲が演奏されたことに
なんとも言い難い、深い感慨をおぼえました。

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